ナスの更新剪定の方法とポイント
夏野菜の栽培で、ナスの栽培をしている方も多いのではないでしょうか?
ナスは秋ごろまで収穫できる野菜です。
長い期間栽培していると、株全体に元気がなくなってしまうことがあります。

ナスが元気がなくなって、枯れそうになってきた⋯

元気がなくなってきたナスの株を元気にする方法はありますか?

更新剪定の方法を教えて!!
という疑問やお悩みをお持ちの方がいらっしゃるのではないでしょうか?
私は野菜作りを始めてから、現在まで下記の3カ所の貸し農園を借りてきています。
- 2020〜2022年 シェア畑
- 2022〜2024年 市民農園
- 2024年〜 マイファーム
わが家の畑でも、毎年ナスの栽培を行っており、今まではナスの株が元気がなくなった頃の8月くらいに更新剪定をしていました。
2025年は6月末ころからすでにハダニの被害にあい、株全体が元気がなくなってしまったので、思い切って更新剪定しました。
更新剪定したナスが7月に入って少しずつ元気になってきて、新しい葉っぱがでてくるようになってきました。
株全体が弱くなってきたときに更新剪定をすると、株が元気を取りもどし秋まで収穫できます。
この記事では、更新剪定の方法とポイントを解説しています。
更新剪定とは
ナスは長期間栽培するので、夏の猛暑などにより株が弱ってしまうことがあります。
このような状態でそのままにしておくと収穫量が減ってしまいます。
そのため、ナスの葉や茎を思いっきり切り取って新芽の発芽を促進を促し、株の勢いを回復させる作業を行います。
この作業のことを「更新剪定」といいます。
ナスは他の植物とは異なり成長が早く更新剪定後の回復も早いため、更新剪定することで秋までナスを収穫できます。
更新剪定の目的
- 弱った株を回復させる
- 古い枝の除去することで、病害虫の防止する
- 新しい枝が早く成長する
- 新しい実の生産を促進する
- 全体の形を整えることで、光合成を効率的に行う
更新剪定後の期待できる効果
- 秋ナスとして9月~10月に再び収穫が可能になる(収穫期間が長くなる)
- 新しい枝で育つ実は、夏ナスよりも皮が柔らかく、味が濃厚になることが多い
- 株全体が元気になり、病気への抵抗力も高くなる
更新剪定の時期
7月下旬から8月上旬
※更新剪定が遅れると再生するのに時間がかかり、収穫量が減少する
更新剪定するタイミング
- 夏の暑さで株が弱くなった
- 葉が小さくなった
- 葉の色が薄くなってきた
- 葉が黄色くなった
- 枝が細くなった
- 実が小さくなってきた
- 実の付きが悪くなった
- 株全体の勢いがなくなってきた
- 秋の涼しい気候(20~25℃)が訪れる前
更新剪定の効果がでるまでの期間
剪定後20~30日で新しい実が収穫できるようになる
ナスの更新剪定の方法
必要物品
- 清潔なはさみ
- スコップ
- 肥料(肥料は即効性のある化成肥料・液肥など)
剪定の手順
1. 株の状態を確認する
剪定前にナスの株全体を観察する
チェックポイント
- 古い葉の有無
- 黄ばんだ葉が多い部分
- 実の付きが悪い枝を見極める
- 株元付近から出ている新しい脇芽の有無
- 健康な枝を残す
※元気な脇芽を残すことが、更新剪定の成功の鍵になる
2. 古い枝を切り戻す
古い枝を切り戻すことで、株が元気になり新しい芽を出すことができる
- 主枝や側枝を、株元から30~40cm程度の高さで切り戻す
- 古い葉や実が付いている枝は、全体の1/3~1/2を目安に切る
- 実が付いていない細い枝も切る
- 各枝には葉を1〜2枚残す(全ての葉を切り落とすと株が弱るので注意する)
- 主枝の付け根付近に新しい脇芽が出ている場合は、元気なものを2~3本残す
- 切り口は斜めにし、水がたまらないように注意する
- 切り口が大きい場合は、癒合剤を塗ると病気の予防になる
※花や実も切り取って、株全体のエネルギーを新しい芽に集中させるようにする
3.不要な葉を切る
- 葉が込み合っている部分は切る
- 病気や傷んだ枝や葉も取り除く
- 下部の古い葉を切る
4.根を切る
根を切ることで新しい根ができ、株全体が元気になる
- 株元から30cm程度離れた場所に、スコップや移植ゴテを垂直に差し込み、2カ所ほど根を切る
※たくさんの根を切りすぎると、株が枯れてしまうので注意する
5. 追肥
追肥をすることで、株の再生を促進する
- 根切りを行った場所に、追肥する(化成肥料は30g程度か液体肥料は500倍にうすめたもののどちらかを追肥する)
※株の再生には多くのエネルギーが必要なため、即効性のある化成肥料や液肥を追肥する
更新剪定のまとめ表
ポイント | 内容 |
---|---|
剪定のタイミング | 7月下旬〜8月上旬 |
切り戻す枝の長さ | 1/2〜1/3にカットする 葉は1〜2枚残す |
根切り | 株元から30cm離れた場所に、スコップを2カ所差し込む |
追肥 | 根切り後に化成肥料や液体肥料を施す |
剪定後の管理 | 水切れ・日照不足に注意し、わき芽を大切に育てる |
更新剪定のポイント
1.大胆に切る
ナスは生命力が強いので、思い切って古い枝を切り戻す
2.元気な脇芽を残す
株元に元気なわき芽は取らずに残し、次の成長を促進させる
3.清潔な道具を使う
ハサミは消毒し、切り口から病気が入らないように注意する
4.天候を考慮する
雨の日や高温多湿の日は避け、晴れた涼しい日に行う
5.剪定後の管理をする
水やりや肥料、支柱の設置を行う
更新剪定を行う際の注意点
- 剪定しすぎると株が弱る場合があるので、元気な脇芽を必ず残す
- 高温期(30℃以上)の剪定は避け、株が弱りすぎないように注意する
- 剪定後の管理を怠らないようにする
- 病気の枝や葉は切り落とす
更新剪定後の管理
- 剪定直後はたっぷり水を与える
- 新しい枝が伸びる前に、支柱を立てて株が倒れないようにする
- 切り口や新しい芽に病気や害虫がつかないよう、定期的にチェックする
- 追肥を行う
よくある質問

更新剪定後は、どのくらいしたら実がつきますか?

1ヶ月ほどで再び実がつき始めます。

同じナス科のピーマンの剪定方法の違いを教えてください。

ピーマンとの違いは、以下の通りです。
項目 | ナス | ピーマン |
---|---|---|
剪定方法 | 更新剪定が必要 | 摘心が主 |
わが家の畑
わが家の畑でも、家庭菜園を始めた年から毎年ナスの栽培をしています。
毎年ナスの更新剪定を行っていますが、はじめの頃は大胆に枝を切ることをちゅうちょしてしまうことが多かったです。
2025年のナスは、6月末ころから葉っぱが黄色く実が大きくならない、ハダニがついたという状態で株が弱ってきました。

このままにしておいても状態が良くならないと判断し、時期的には早かったのですがダメ元で、更新剪定に挑戦しました。

写真の説明
- オレンジの◯印:この部分に葉が出ていたら残す
- 青の線:葉っぱを2〜3枚残して、葉や枝を切る
- 赤の線:マルチシートの両端の部分(赤い印)の部分を更新剪定のときに、ショベルを入れてマルチの両脇2カ所の根を切って追肥する
下記の写真は、更新剪定をした直後のものです。

今回は株がかなり弱ってきていたので、今までよりもかなり大胆に切ったので株が復活できるか不安でしたが、7月に入り少しずつ新しい芽が出て蕾がついてきました。


このままいい状態で経過することができれば、再びナスの収穫ができそうです。
まとめ
ナスの更新剪定は、株を若返らせて秋に美味しいナスを収穫するための重要な作業です。
適切な時期に思い切った剪定と適切な追肥をすることでナスの元気を取り戻し、
再び実をつけるようになります。
更新剪定後には水やり、支柱立て、病害虫のチェック、追肥などの管理を行うことが成功の鍵となります。
ナスの更新剪定は大胆に枝や葉を切るので勇気がいる作業ですが、ナスを秋まで長く収穫するためには必要な作業です。
初めてナスの栽培をするという方も、この記事を参考にナスの更新剪定のポイントを押さえて、挑戦してみてくださいね。

更新剪定にチャレンジして、美味しい秋のナスの収穫を楽しみましょう!!