白菜軟腐病を徹底解説

白菜を育てていると、ある日突然、

葉がしおれてきたんだけど、大丈夫かな…

株元が溶けてきた感じになってきたんだけど…

という症状がでてくることがあります。

これは、もしかすると「軟腐病」と呼ばれる病気かもしれません…

軟腐病は白菜をはじめ、キャベツやレタスなどのアブラナ科野菜に多く発生する細菌性の病気で、進行が非常に早く、一度かかると手遅れになることも少なくありません。

一度発生するとあっという間に広がり、大切な白菜がドロドロに溶けてしまう、非常に厄介な病気です。

私は野菜作りを始めてから、現在まで下記の3カ所の貸し農園を借りてきています。

わが家の畑でも、毎年白菜の栽培を行っています。

1度だけ白菜の株元が溶けてきた感じになったことがありますが、すぐに対処することで周りの白菜に移ることはなく、他の元気な白菜は無事に収穫できました。

この記事では、軟腐病を見逃さないための初期症状から、被害を食い止めるための予防策と対処法までを徹底的に解説します。

この記事を参考に、軟腐病の症状がでて来た方は、早めに対処するようにしましょう。

軟腐病とは

軟腐病は、その名前の通り「軟らかく腐る」病気で、細菌の一種であるエルウィニア菌（Erwinia carotovora）が原因で発生する病気です。

細菌に感染した部分は、ドロドロになり、悪臭を放つことがあります。

放置すると白菜全体が腐敗し、収穫が難しくなるため、早めの対処が不可欠です。

発生しやすい環境

• 病原菌の侵入: 土壌中に広く生息する病原菌が、害虫の食害痕や管理作業でついた傷口から白菜の内部に侵入する
• 高温: 病原菌は22～30℃、特に30～35℃で活発に繁殖する
• 多湿：降雨が続き、土壌水分が多く、空気湿度も高い時期に多発する
• 排水不良：排水が悪いと、地際の湿度が高くなり、菌が繁殖しやすい
• 密植: 風通しが悪いと、湿度が高くなり、菌が繁殖しやすい
• 窒素過多: 肥料、特に窒素分が多いと、植物体が軟弱に育ち、傷つきやすく、病気への抵抗力が弱まる
• 連作：土壌に病原菌が残っている
• 残渣：残渣に病原菌がついている

このような条件が重なると、一気に軟腐病が広がる危険があります。

原因菌

エルウィニア菌（Erwinia carotovora）

この菌は、高温多湿の環境で発生しやすく、土壌や水、傷ついた植物組織を通じて白菜に感染し、傷口から侵入して白菜の組織を分解し、葉や茎をドロドロに溶かし悪臭を放ちます。

症状

軟腐病は、早期発見が非常に重要です。

進行度に応じた見分け方を把握しましょう。

初期症状

• 外葉が急にしおれる：外側の葉が水分を失ったように、しおれたり黄化する
• 地面に接している葉や葉柄（葉の付け根）の地際近くに、水が浸みたような斑点が現れる：淡褐色～灰褐色の斑点
• 葉や芯の部分が水っぽくなる：軽く触るとブヨブヨした感触

進行期の症状（最大の特徴！）

• 軟化・腐敗: 病斑部分が急速に軟らかく腐り（軟化腐敗）、ドロドロの状態になる
• 独特の悪臭: 腐敗が進むと、独特の強い悪臭（アンモニア臭）を放つ
• 株の崩壊: 最終的には株全体に腐敗が広がる

根元や葉柄の基部が変色・軟化していたら早めに株を抜き取りましょう！！

白菜軟腐病の予防と対策法

軟腐病は一度発生すると治療が難しいため、予防が最も重要です。

以下に、白菜軟腐病を防ぐための具体的な対策を紹介します。

土壌改良

• 植え付け前に石灰をまいて土壌を中和し、細菌の活動を抑える
• 熟な堆肥は細菌の繁殖を助けるため、よく発酵させた堆肥を使用する

連作をさける

• 白菜・キャベツ・大根などアブラナ科は同じ病気にかかりやすいため、2〜3年は他の作物を栽培して土壌を休ませる

健全な苗を使う

• 苗の段階で軟腐病が出ていないか確認する
• 元気がない苗は、植え付けない

軟腐病に対する耐病性の品種を選ぶ

• 耐病性品種を選ぶことで、病気の発生を抑えることができる

耐病性がある品種例と特徴

早期発見する

• 軟腐病の症状を見つけたら、感染した株をすぐに抜き取り、土壌への拡散を防ぐために畑の外で処分する

適切な施肥を行う

• 肥料のバランスを考え、特にカリウムを適度に施用することで、植物の抵抗力を高める
• 窒素肥料の与え過ぎは避ける

風通しをよくする

• 密植して植えない

排水をよくする

• 畝を高めにして水はけをよくする
• 堆肥を混ぜて、土壌を改良する

適切な水やり

• 過剰な灌水を避け、土の表面が乾いたタイミングで水を与える

白菜を傷をつけない

• 作業時の刃物や手袋の消毒をする
• 害虫（特にヨトウムシ・アオムシ）による食害にも注意する

清潔な道具を使用する

• 農具や手袋は使用前に消毒し、細菌の持ち込みを防ぐ

害虫を防除する

• アオムシ、ヨトウムシ、キスジノミハムシなどの食害痕から菌が侵入するため、これらの害虫を農薬などで防除する

収穫前日まで使用可能！ゼンターリ顆粒水和剤の活用法

ゼンターリ顆粒水和剤は収穫前日まで使用できる天然由来の微生物成分を使った殺虫剤で、化学農薬とは異なり自然由来の力で害虫に効果があります。この記事ではゼンターリ顆粒水和剤の活用方法について解説しています。

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防除薬剤の活用する

• 軟腐病は細菌性なので、殺菌剤（農薬）を使用する

※使用する際は、必ず製品ラベルの使用方法・希釈倍率・安全基準を守りましょう。

収穫後の注意点

実は、軟腐病は収穫後にも発生するんです！！

収穫時にできた小さな傷から菌が侵入し、貯蔵中に腐敗することがあります。

よくある質問

軟腐病にかかった白菜は、食べられますか？

感染部分は腐敗して悪臭を放つため、食べるのは避けてください。

軟腐病は、他の野菜にも感染しますか？

エルウィニア菌はキャベツ、レタス、ジャガイモなど多くの野菜に感染します。

まとめ

白菜の軟腐病は、一度発病すると防除が難しい厄介な病気で、発症してからの治療よりも予防が重要です。

白菜は以下のようなポイントに気をつけて栽培します。

• 土壌の改良
• 連作を避ける
• 健全な苗を買う
• 病気に強い品種を選ぶ
• 軟腐病の症状を見つけたら、迅速に感染株を除去し、他の白菜への広がりを防ぐ
• 適切な施肥
• 風通しをよくする
• 排水をよくする
• 適切な水やり
• 白菜を傷をつけない
• 清潔な道具を使用する
• 害虫を防除する
• 防除薬剤を使用する

白菜軟腐病は、早期発見と予防が成功の鍵になります。

この記事を参考に、日々の観察と早めの対応で、腐らない丈夫な白菜を育てましょう。