タバコガ類の被害の特徴と防除の方法
家庭菜園で大事に育ててきたトマトやナスやピーマン。
畑に行って見たときに、果実に穴が開いていたり、果実の中身を食害している虫を見たことがある方もいるのではないでしょうか?
その原因の一つとして、タバコガ類(タバコガ・オオタバコガ)によるものかもしれません。

タバコガ類ってどんな虫ですか?

タバコガ類による被害には、どんなものがあるの?

被害を防ぐ方法はあるの?

発生したときの対処法はあるの?
というお悩みや疑問をお持ちの方がいらっしゃるのではないでしょうか?
私は野菜作りを始めてから、現在まで下記の3カ所の貸し農園を借りてきています。
- 2020〜2022年 シェア畑
- 2022〜2024年 市民農園
- 2024年〜 マイファーム
わが家の畑でも毎年トマトの栽培をしていますが、タバコガによる被害がでます。
2025年も突然大量のタバコガ類が発生し、トマトの実に穴をあける被害がで始めました。
家庭菜園におけるタバコガ類の被害は、特にナスやトマトなどの作物に深刻な影響を及ぼします。
この記事では、タバコガ類の基本情報・被害の特徴・家庭菜園で実践できる効果的な防除法を詳しく解説します。

誰でも簡単に取り組める方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
タバコガ類とは?
分類:チョウ目、ヤガ科
日本には数種類のタバコガ類が生息しており、主に農作物に被害を与える蛾の一群で、家庭菜園でよくみられる代表的な種類に「タバコガ」と「オオタバコガ」があります。
特にその幼虫(青虫)が野菜や植物に被害を与え、主にナス科の植物を食害します。
タバコガ類の特徴
- 夜行性
- 幼虫は葉や果実の中に入って食害する
- タバコガは主にナス科(トマト、ナス、ピーマンなど)に発生しやすい
- オオタバコガは広範囲の作物(オクラ、イチゴ、キャベツ、レタス、花き類など)に発生する
タバコガ類の発生原因
- 高温・乾燥が続くと発生しやすい
タバコガ類の活動時期
- 8〜10月に被害が増加する
タバコガ類の成長過程
卵
↓(3~5日で孵化)
幼虫:孵化した幼虫は葉や果実に穴を開けて内部に潜り込んで食害する
↓(2~3週間成長)
蛹(土中で蛹化・越冬もこの段階)
↓(2週間程度で羽化)
成虫(交尾・産卵):夜間に活動し、卵は葉の裏に産みつける
※気温や環境によってスピードが変わりますが、基本的な成長過程は上記の過程を繰り返します。
タバコガとオオタバコガの違い
タバコガとオオタバコガは見た目や生態が非常に似ている害虫ですが、いくつかの明確な違いがあります。特に、幼虫の頃は見分けがしにくいです。
タバコガとオオタバコガの違い
比較項目 | タバコガ | オオタバコガ |
---|---|---|
被害にあいやすい植物 | 主にナス科(トマト、ナスなど) | 非常に広範囲(ナス科以外にも多くの野菜や花) |
成虫の大きさ | 体長15mm以内 | 体長15~20mm程度でやや大きい |
成虫の色・模様 | 黄褐色(雌はやや赤み) 前翅外側の黒い縦線がギザギザ | 黄褐色(雌は赤色が強い) 前翅外側の縦線が不明瞭 |
幼虫の特徴 | 体長35~40mm 背中に黒い点と刺毛(毛は少なめ) 気門線より下部の毛の付け根が黒い | 体長35~40mm 背中に黒い点と刺毛(毛はやや多い) 毛の付け根は黒くない |
産卵数 | 1匹あたり500~600個 | 1匹あたり1,000個以上と多い |
薬剤耐性 | 標準的 | 薬剤耐性が高く、防除が難しい |
タバコガ類の被害の特徴(観察ポイント)
タバコガ類の幼虫による被害は、気づきにくいものから、ひと目でわかるものまでさまざまで、以下のような被害を引き起こすのでこれらの被害がないかを観察します。
葉に穴が開く(初期)
- 幼虫が若い芽や柔らかい部分を食べるため、葉に不規則な穴があく
- 被害が進むと葉脈だけが残り、葉がレース状になることがある

糞
- 黒や緑色の小さな糞が葉の表面や土の上、果実の部分に見られる
- 水分を含む柔らかい糞を見つけた場合は、その糞のそばで幼虫が活動していることが多い
茎や実の食害
- 幼虫は果実に直径2ミリから1センチの穴を開けて内部を食害する
- 種子を好んで食べるため、ナスやトマトの実に穴が開いたり、表面が削られている
- 果実に穴を開けて中に潜り込み内部を食べるため、外見では気づきにくい
- 穴があるのを見つけたときは穴から実の内部をのぞくと、幼虫が食い荒らしているのが見えることがある
- 特にトマトの実の中に入り込む
- 成長するにつれて葉や果実に穴を開けるため植物の成長が阻害され、病原菌の侵入リスクが高まる
- 被害が進行すると果実が腐敗し、収穫量が大きく減少する
夜間に被害が進行
- 夜行性で昼間は葉の裏や土の中に隠れていることが多いため、被害に気づきにくい
成長の遅れ
- 葉や茎が食べられることで光合成が阻害され、植物全体の生育が遅れたり、収穫量が減る
幼虫の姿
- 幼虫は体長が2〜4cm
- 色は緑色、褐色、またはその中間
- 多くの場合、体の側面に白い筋が入っている
- 昼間は実の中に潜んでいることが多く、夜間や朝夕に見つけやすい
- 成長するにつれて実に移動することが多くなる
- 幼虫は一か所にとどまらず、複数の果実や蕾を渡り歩いて加害する
- 発生数が少なくても被害が広がりやすい
変色・腐敗
- 穴が開いた実は、そこから細菌が侵入し変色したり腐敗することがある
- 特にトマトなどは、実の一部が熟さずに固く残ったり、ブヨブヨと柔らかくなる
タバコガ類の防除方法
タバコガ類は予防方法と発生したあとの対処方法が重要になります。
予防方法
防虫ネットの活用
- 目合いの細かい(4mm以下)防虫ネットをする
早期発見
- 定期的に葉の裏や実の付け根などに産み付けられた卵(直径1mmほどの白い球状)の有無
- 孵化したばかりの幼虫の有無
- 実に穴が開いていないか確認する
- 幼虫は葉の裏や茎の付け根に隠れている
株間を適切に保つ
- 適切な株間を保ち、通気性をよくする
雑草の除去
- 畑の周辺に雑草が多いとタバコガの隠れ場所になるので、定期的に除草を行う
コンパニオンプランツの利用
- マリーゴールドやネギ類などのコンパニオンプランツを植える

輪作を行う
- 同じ場所で同じ作物を続けて栽培しないようにする
健康な土作り
- 堆肥や有機肥料で土作りをして、植物の抵抗力を高める
- 土中で蛹になって越冬するため、栽培終了後や冬に畑をよく耕して蛹を駆除する
- 窒素分が過剰な場合、タバコガ類の産卵が増加する傾向があるため、適切な量で土作りをする
粘着トラップの設置
- 黄色の粘着トラップを植物の周囲に設置する

対処方法
被害果実と蕾の早期除去・捕殺
- 被害を見つけたら幼虫が潜んでいる実ごと取り除く
- 幼虫を見つけたら捕殺する
忌避効果のある植物や資材を使う
- ニンニクやネギ類をコンパニオンプランツとして植える
- ストチュウを葉にスプレーする
- 木酢液を薄めて、葉にスプレーする

排水溝ネットで侵入を防ぐ
- 排水溝ネットを実に被せて、タバコガ類の侵入を防ぐ

農薬の利用(最終手段)
被害が広範囲に及ぶ場合や手作業での防除が追いつかない場合は、最終手段として農薬を使用します。
- 幼虫が小さいうちに農薬を散布するのが効果的
- 必ず「作物名」「適用害虫」「使用時期」「使用回数」などを確認し、用法・用量を守って使用する
- 特に、収穫間近の作物には使用できる農薬が限られるため注意が必要
- BT剤(バチルス・チューリンゲンシス菌を使用した生物農薬)は人や他の生物への影響が少ない
- タバコガの幼虫に特異的に効果を発揮する
※同じ農薬を繰り返し使用すると抵抗性が生じるため、複数の農薬をローテーションで使用する
※使用する際は、商品のラベルをよく読み、適切な濃度とタイミングで散布する。
わが家の畑
2025年、我が家の畑にも、とうとうタバコガ類が発生し、トマトの実に穴をあけ始めました⋯
植え付けしてからしばらく防虫ネットとビニールをしていたのですが、気温がかなり上がってきたため通気性を考えて、6月末に防虫ネットを外した途端にタバコガ類による被害が増えてしまいました。
わが家の畑で、タバコガ類を見つけることができたのは、
- マルチの上に黒い糞があった
- トマトに穴があいていた
- トマトのヘタの部分に、柔らかい異物があった
- トマトの葉の上に緑や黒の糞があった
- トマトの実の中に潜り込んでいるタバコガ類を見つけた
という点で嬉しくはありませんが、タバコガ・オオタバコガの幼虫を発見することができました。

写真のように、トマトの実の中に頭を突っ込んで食害し、お尻側からは緑の排泄物がみられました⋯
特に柔らかい水分を含んだ緑色の糞を見つけると、その近くには必ずといっていいほどタバコガ類の幼虫が発見できます。
気温がかなり高いため防虫ネットをすると、通気性が悪くなりそうな気がするので、他の方法で対処して様子を見ています。
現在使用している貸し農園では農薬の使用ができないので、農薬以外の方法で対処をしなければなりません⋯
2025年7月現在、
- 定期的な観察
- 週1回、木酢液の散布
- 発見したら捕殺する
- 穴があいた実は早めに滴果する
- 下葉を摘葉して、通気性をよくする
- トマトの実に排水溝ネットを被せて、タバコガ類の侵入を防ぐ
などで対策中です。

トマトの実を少しずつかじっており、本当に厄介な虫です⋯
2025年7月8日
トマトの実をタバコガなどの害虫から守るため、100均などで売っている排水溝ネット(深型)をかぶせて実を保護しました。
時間の関係で全部のトマトに排水溝ネットをかぶせることはできませんでしたが、いくつかの房はネットを被せているのでしばらくこれで様子をみます。
排水溝ネットを使用するメリット
- 害虫から果実を守ることができる
- 全体に防虫ネットをかけるより、通気性が良くなる
排水溝ネットを使用するデメリット
- 1つの房ごとに排水溝ネットをかぶせるため手間がかかる
- 収穫時に毎回排水溝ネットを外す必要があるため手間がかかる
2025年7月16日
排水溝ネットを被せていたトマトですが、虫に穴をあけられているものは減ったと思ったら、今度は排水溝ネットを引っ張ってちぎったり穴をあけて、トマトを食い散らかしていました⋯

なにやられたかはまだ分かりませんが、排水溝ネット+防鳥ネットを併用することにしました⋯

ちなみに、トマトだけではなくきゅうりも食い散らかされていましたが、白ナスとししとうは無事でした。
まとめ
タバコガ類は、家庭菜園で栽培している野菜に大きな被害をもたらす厄介な害虫です。
タバコガ類は家庭菜園にとって強敵ですが、被害の特徴を理解し適切な防除法を実践することで、大切な野菜を守ることができます。
そのためには、早期発見と適切な対策が鍵となるので、被害の兆候を見逃さないようにすることが重要です。
対策としては、防虫ネットの設置や捕殺、薬剤の適切な使用をすることで、健康な作物を育てることができます。

野菜全体を定期的に観察し、必要に応じて防虫ネットなどの資材を活用して、美味しい野菜の収穫を目指しましょう!