トマトの裂果の原因と対策
トマトの栽培をしているともうすぐ収穫できるというときに、トマトの実が割れた(裂果)という経験をお持ちの方がいらっしゃるのではないでしょうか?
トマト栽培でよく見られる問題の一つが、トマトの実が割れる「裂果」です。

もう少ししたらトマトが収穫できると思っていたのに、トマトの実が割れてしまった⋯

トマトの実が割れた原因はなにですか?

トマトの実が割れないようにするための対策はありますか?
という疑問やお悩みをお持ちの方も多いと思います。
せっかく育ててきたトマトの実の表面のひび割れは、見た目や品質が損なわれるだけでなく、保存性や食味も落ちてしまいます。
私は野菜作りを始めてから、現在まで下記の3カ所の貸し農園を借りてきています。
- 2020〜2022年 シェア畑
- 2022〜2024年 市民農園
- 2024年〜 マイファーム
わが家の畑でも、以前トマトの実が割れたことがあります。
まだ家庭菜園を始めたばかりの時期だったので、畑に行くたびに「水やりをしないと⋯」と思い、水やりをしてしまい、今考えればこれが原因でトマトの実が裂果してしていました。
トマトの裂果は水分量の急激な変化だけでなく、肥料、温度などさまざまな要因で起こります。
この記事では、トマトの実が裂果する原因・対策を解説しています。

原因を知って対策を行うことで、トマトの裂果を防ぎ、美味しいトマトを収穫できます。
トマトの裂果とは?
トマトの果実が成長過程や成熟時に、皮がその成長に追いつかずに皮が裂けてしまう現象で、収穫が近くなる頃によく見られる現象です。
トマトの裂果の種類
トマトの果実表面に亀裂が入る生理障害のことで、主に以下の3タイプがあります。
- 放射状裂果:ヘタの部分から縦方向に割れる
- 同心円状裂果:ヘタの周囲をぐるりと円状に割れる
- 側面裂果:果実の側面が不規則に割れる
トマトが裂果することで生じる影響
- 見た目が悪くなり、商品価値が落ちる
- 割れ目から病原菌が侵入し、実が腐ったり病気にかかる
- 保存性が悪くなる
トマトが裂果する原因と対策
水分量の急激な変化
原因
急激な水分量の変化
- 乾燥した土壌に急に大量の水を与えた
- 梅雨明けや夕立、ゲリラ豪雨の後など、土壌が乾いている状態で一気に水分が供給された
裂果が起こるメカニズム
実が急激な水分を吸収して膨張し、皮が耐えきれずに裂ける
起こりやすい環境
- 梅雨
- 長雨の後に晴天が続いている
対策
- できるだけ、同じ時間に同じ量の水やりをする
- 乾燥後に急激な水やりを避ける
- 露地栽培の場合、雨よけの設置する
- プランター栽培の場合、雨のときは軒下に移動する
- マルチシートやわらなどを株元にかぶせることで乾燥を防ぐ
高温・強日射
原因
- 35℃を超える猛暑や強い直射日光
裂果が起こるメカニズム
- トマトが青い段階で強い日光にさらされると果皮をかたくし、果実の肥大に追いつけなくなって裂果する
- 果実が日焼けすることで裂果のリスクが高まる
- 昼夜の温度差で、トマトの実にストレスがかかり裂果する
起こりやすい環境
- 35℃を超える猛暑
- 強い直射日光
- 特に夏場やハウス内の高温
対策
- 真夏は遮光ネットや寒冷紗を使って、強い日差しをカットして、果実への負担を軽減する(遮光率は15〜20%程度が適切)
- ハウス栽培では換気扇や送風機で温度・湿度を下げる
- プランター栽培の場合は、日陰に移動させる
窒素過多
原因
- 窒素過多
裂果が起こるメカニズム
- 窒素肥料を過剰に与えると果実の芯が大きくなり、皮の下にコルク層が形成されてひび割れする
起こりやすい環境
- 窒素を多く与えすぎると葉や茎ばかりが茂り、果実の成長が追いつかなくなって果実の皮が薄く弱くなり、裂果しやすくなる
対策
- 肥料をバランスよく施肥する
カルシウム不足
原因
- カルシウム不足
起こりやすい環境
- カルシウム不足
裂果が起こるメカニズム
- カルシウムは果実の細胞壁を強化する役割を持つため、不足すると果実の皮が弱くなり裂果しやすくなり、尻腐れ病などの病気も引き起こすことがある
対策
- 土壌に苦土石灰などをまいて、カルシウムを補給する
- 肥料をバランスよく施肥する
品種による特性
原因
- 品種によって裂果しやすいものがある
起こりやすい環境
- 果皮が薄い品種
- 大玉トマト
- 完熟した果実
裂果が起こるメカニズム
- 皮が薄く果肉の量が多いと裂果する
対策
- 早めに収穫する
- 栽培の品種を決めるときに、ミニトマトや皮が分厚い品種を選ぶ
- 品種名に「ひび割れに強い」などの記載があるものを選ぶ(耐裂果性)
トマトの品種によって裂果の起こりやすさが異なります。
裂果に強い品種の例
トマトの種類 | 裂果しにくい代表品種 |
---|---|
ミニトマト | TY千果、サマー千果、リトルジェム、アイコ |
中玉トマト | フルティカ、シンディースイート |
大玉トマト | 桃太郎、桃太郎ワンダー、パルト、麗月、麗夏 |
トマトが裂果する原因と対策のまとめ表
原因 | 詳細説明 | 主な対策 |
---|---|---|
急激な水分変化 | 乾燥後に大雨や多量の水やりをすると、果実が急激に水分で膨張し、皮が裂ける | 水やりは毎回同じ時間・量で行う 乾燥後の急な潅水を避ける 雨よけ設置する プランター栽培の場合は、雨が当たらない位置に移動させる |
高温・強日射 | 果皮が日焼けして硬くなり、肥大に耐えられず裂ける | 遮光ネットや日よけ設置する プランター栽培の場合、日陰に移動させる |
肥料の与えすぎ(特に窒素過多) | 急激な成長を促し、果実が肥大して裂果する | 肥料はバランスよく施肥する 窒素過多を避ける |
カルシウム不足 | 不足すると果実の皮が弱くなり裂果しやすくなる | 土壌に苦土石灰などをまいて、カルシウムを補給する 肥料をバランスよく施肥する |
品種特性 | 裂果しやすい品種・しにくい品種がある | 裂果に強い品種(例:桃太郎ピース、フルティカ、パルトなど)を選ぶ |
よくある質問

トマトが裂果したらどうしたらいいですか?

裂果すると腐りやすくなるので、早めに収穫しましょう。

裂果したトマトは食べることができますか?

食べることは可能です。裂果した部分が軽微な場合は、すぐに食べてしまえば問題ありません。
裂け目が大きい場合は、もったいないですが諦めることも必要です。

裂果したトマトを活用する方法はありますか?

ジャム、トマトソース、煮込み料理、スープ、ジュース、ケチャップなどに活用できます。
食べるのに抵抗がある場合は、堆肥にできます。
まとめ
トマトの裂果は、水分・温度・日照・肥料・品種など、さまざまな要因によって引き起こされます。
原因を理解し対策を行うことで、裂果を防ぐことができます。
昨今の気候の変化により、トマトの実が裂果しやすくなる環境になっているので、日々の観察を怠らず、異常があればすぐ対処することが重要です。
この記事を参考に、トマトの裂果を防ぎ、暑い夏を乗り切って美味しいトマトの収穫をしていきましょう!!